日々のお話」カテゴリーアーカイブ

もうすっかり春?

いつのまにかすっかり春の気配、を通り越して、すでに暑いような気さえするこの頃です。家のネコヤナギはあっという間に花盛り。

我が家の小さな池は、去年夏以降、冬の間もほったらかしで、もう何も棲んでいないものだと思い、先日底をさらえたのだけれど、ここ数日小さな金魚が泳いでいてびっくり!(もう何年も生き延びているすごいやつ)。

うれしいな、また会えた。

コブシ咲く、桜咲く、

展覧会始め、清滝ではまだ蝋梅、白梅、紅梅が見られたのに、

展覧会が終わって搬出日には、佐野藤右衛門さんの枝垂れ桜も咲いていて、我が家ではコブシが花盛りでした。

今年はコブシも枝垂れもソメイヨシノも、みんな一緒に一斉に咲き出したみたいです。

3月の竹紙ワークショップに向けて

春はもう近いはずなのに、さ、さむい!
今朝は京都も雪景色で、手水には氷が張っています。

 

竹紙のワークショップに向けて、作業をしているのですが、屋外で水を使う作業が多いので、ついつい、ううう〜、と作業も渋りがち。
それでも、北陸や北海道はまたもや大雪だというから、それに比べたら、ずっとマシなはず(でも、京都の底冷えはまた格別なんですよ。町家の作りも夏向きにできていますしね)。

ぐずぐず言っていないで、やることやらねばね。
思い切って外に出て、やり始めてしまえば、体は動きだし、寒さも気にならなくなってくるもんです。

 

今日はキナリの竹紙材料のほか、草木染めの材料も作ってみましたよ。
材料は、昨秋美味しく食べたオニグルミの殻。いいグレー茶になりそうです。

3月5日(土)と8日(火)は西陣テラにて手漉き竹紙のワークショップです。午後1時半〜3時
参加費2,000円 (講習費、持ち帰り竹紙代、茶菓付き)
町家の日普及実行委員会  詳細 https://machiyanohi.jp

3月13日(日)は清滝テラにて手漉き竹紙のワークショップです。午前10時〜12時
参加費2,000円 (講習費、持ち帰り竹紙、昼食付き)
景勝・小倉山を守る会  詳細 http://hitomori.sakura.ne.jp/schedule.html#竹紙

どちらも要予約です。各日すでにお申し込み集まりつつありますので、ご希望の方はお早めにご連絡くださいね。

 

 

2021年 新年の始まりに

遅ればせですが、あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお付き合いのほどお願い申し上げます。

コロナに揺さぶられて先の見えないる年の始まりとなりましたが、皆様どのように新年を迎えられたでしょうか?

私は静かに自宅で年末年始を迎えました。
我が家では、毎年30日に家で餅つきをしています。いつもは親戚や友人たちを招いて賑やかに餅つきするのですが、今年は家族だけで静かにおこないました。白味噌もここ数年手作りしています(今年はここ数年で一番上手くできましたよ)。

おせち料理は、伝統的なものを少しだけ我が家風にアレンジしながら手作りします。

数の子、たたきゴボウ、ごまめ。黒豆、紅白なます、蒲鉾、卵焼き、栗きんとん、棒鱈、レンコン、有頭海老、そしてお煮しめなど、、。

毎年似たようなものを作っていますが、今年はいつもより少し気合を入れて作ったつもりです。
昔の人は、自然災害や疫病など、自分の力ではどうにもできないことも多く、折に触れて、さまざまな願いを神に祈ることも多かったのでしょう。健康長寿や子孫繁栄、疫病退散、商売繁盛、、正月料理の一つ一つにも、そうした願いが込められていると伝え聞きます。
今はコロナで人間の思い通りにはならないことも多いですから、こりゃあ、神様やご先祖さまにもよ〜くお願いするしかなかろうがと思い、正月料理にもやや力を入れたのでありました(ふだん不信心なのにこんな時だけすみません!)
でも、信心の有無やその見返りの有無ではなく、正月料理を丁寧に作ることで、自分の心に少し気合を入れて、より良い未来への祈りを込めたというのが正直な気持ちだったかもしれません。

今年もなんだか先は見通せず、その先には必ず明るい未来が待ち構えている、なんて今は気楽に言えそうにありません。それでも、今日を一生懸命生きることで明日が見えてくるのだと思うし、今日をうつむいて生きていたら、今日も明日も楽しくないでしょう。大体、暗い気分で日々を過ごしていたら、免疫力が低下し、どこかから隙間風のように病魔や疫病神が迷い込んでくるやもしれません。

今は、多くの人と気楽に出会ってガハハと笑いながら思いっきりおしゃべりしたり、大勢で一緒にご飯を食べたりすることはむずかしいけれど、できないことではなく、できることを考えて、心の免疫力も高めたいと思っています。
科学は科学でしかと受け止めながら、今本当に大切なことは何か、自分の目や頭でしっかり考え、判断力を磨き、心の自由は奪われず、今日を生き生きと暮らしていきたいです。

皆さんとも、心折れそうな時には励まし合い、互いに足りない力を合わせながら、今日と明日を生きていけたらー、テラがそんなことのほんの小さな支えにでもなれば嬉しいです。
私もまた皆さんに励まされ支えられつつおります。

 

 

 

竹紙講習会やりました

さて、異例の暖冬で雪を見ないうちに、暦の上では春が近づいています。1月25日、旧暦でも新年を迎えました。テラもそろそろ動き始めるときです。

1月25日には、竹に関心を持つ人々やグループが交流する一般社団法人「京都竹カフェ」に呼んでいただき、竹紙漉きの講習と竹紙に関するお話をさせていただいてきました。竹に関心を持つ方々が参加者でしたから、質問も多く飛び交い、手も口も頭もご一緒に動かす中、楽しい時間を過ごしました。

材料準備を進めるのは寒中の屋外となり、ちょっと寒いなあと思う日もありましたが、竹を煮て寒の水で洗い木槌で黙々と竹を叩く作業、私は嫌いではありません。竹を叩いたり紙を漉いたりする繰り返し作業はどこか修行にも似たところがあり、邪念を払い、頭がスッキリする気がします。


また、お話のための文章や写真を整理していく中で、竹紙についてこれまでぼんやり考えてきたことが次第にクリアになったり追求点が見えてきた感もあり、今回は良い機会をいただいたなと感謝しています。

世界の竹紙についても、中国の歴史的な竹のイメージを教えていただいたり、次に行きたいと思っているベトナムの情報を頂いたり、気持ちが更に一歩前に進みました。

今年は、私もテラを始めた初心に戻って、竹と竹紙についても、しっかり向き合っていきたいと思います。昨秋、長く在宅介護してきた義母の死去で延期してしまった「世界の竹紙展」も、竹紙のこれからとも合わせて考えつつ改めて形にしていきたいと思っています。

 

 

2020年の始まりに

遅ればせながら、新年のご挨拶を申し上げます。
旧年中のご愛顧に感謝いたしますと共に、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

みなさま、良いお正月をお過ごしでしたか?
私は個人的には喪中の正月だったので、恒例の餅つきも行わず、のんびり静かな年の瀬を、、と思いきや、めずらしくも体調を崩し、年末に数日間寝込んでしまいました。年が変わるギリギリに起き上がることができるようになり、なんとか寝正月を避けることはできましたが、体のことなんか何一つ心配することのなかった、無茶をがむしゃらな気力と体力で乗り切っていた頃とはもうちょっと違うのかな、自分の体のことも自分で少しは気をつけねばなあ、と今頃になって思い至っている次第です。

思えば4年近く前、ミャンマーに竹紙探訪の旅に出かけましたが、帰国2週間後、夫が突然の病に倒れて一命をとりとめたものの、そのすぐ後に義母が大怪我で長期入院、二人の退院後は在宅介護の日々が続き、以後自分の目の前をかき分け進むのにいっぱいいっぱいでした。昨秋、義母を看取り10年余りの見守りと介護の日々にも一つの区切りがつきましたので、これからは少し落ち着いて、自分のすべきことなど考えながら進んでいきたいと思っています。

そんなわけで、まずは今年の始まりに、4年間ご報告することができずにいたミャンマー竹紙探訪のレポートを、4年ぶりにしてみようと思っています。今更?と言われるくらい時間が経ってしまいましたが、私の中では4年前に戻らなければ先にはつながらない感があり、まずはそこから始めてみたいと思います。

 

 

 

能登・よろみ村の旅

能登のよろみ村より帰ってまいりました。

この地の拠点となっている禅寺・龍昌寺に宿泊し、夜明け前にアカショウビンの声で目覚め、早朝の座禅から始まる朝、

長い廊下の雑巾がけ、蓮の花や野の草花を見ながらの朝散歩、

 

畑の作物と相談しての料理作り、

  

大家族みたいにいただく食事やお茶の時間、たくさんのおしゃべりともっとたくさんの笑い声、

手を真っ青に染めての藍染、

  

 

満天の星、近づく赤い火星、そして暗闇。

携帯もネットもつなぐことなく(どうせ圏外で繋がらない)、デジタル画面を見ることもなく、電話もかけない。リラックス&エネルギーチャージの「日常のような非日常」もしくは「非日常のような日常」。

龍昌寺のご住職、村田和樹さんと啓子さんご夫妻には大変お世話になりました。

ご一緒に参加した皆さんとも、短いながらも共同生活を送ったおかげで、すっかり打ち解け仲良くなりました。

そして、そのよろみ村に住んでいる住人の一人が、来月展覧会で清滝テラに来られる江崎満さんです。もちろん江崎さんのお家にも寄ってきました。
リクガメのシリウスとは初対面、イタリアングレーハウンドのカンちゃん(この子のじいじはかつみゆきおさんで,かつみさんのところで生まれた子犬を私が江崎さんのところに紹介したので、まあ私もいわば里親というわけです)とは久々の再会。

空、星、鳥、木々、草花、畑、動物、虫、土、水、川、海、魚、そして人、、、よろみ村には生き物たちが満ち満ちていて、来月初めには、そのエネルギーを凝縮したみたいな江崎さんが京都にやってくる、というわけです。

どんな日々になりますか。こちらも楽しみです。

渡辺淳さんのこと

8月17日は久しぶりに若狭に行ってまいりました。と言っても決して嬉しい訪問ではなく、若狭や一滴文庫にとってなくてはならない人であった画家の渡辺淳さんのご葬儀でありました。

86歳とご高齢ではありましたが、いつまでもお元気なような気がして、いつも変わらない故郷のように思えて、ここしばらくご無沙汰してしまっていました。

淳さんとの一番最初の出会いは、水上先生と知り合って、初めて一滴文庫にお邪魔した時。一滴の庭で草むしりとお掃除をしていた年配の男性がいらして、庭仕事のお手伝いの方かなあなどと思っていたら、それが淳さんだったのでした。

いつも心安く声をかけてくださり、来る人を温かく迎えてくださり、水上先生のご著書の挿絵を100冊余りも描かれたベテランの画家であるにもかかわらず、ご自身のことも絵のことも、何の出し惜しみもなく飾ることもなく与えてくださる方でした。一滴文庫で、淳さんのアトリエで、たくさんのお話を聞き、たくさんの絵を見せていただきました。

渡辺淳さんは、水上勉先生と同じ若狭の隣り合う村に生まれ、そこで育ちました。水上先生は若くして故郷を離れ、故郷に愛憎相半ばする思いを抱きつつ都会に出て行かれたわけですが、淳さんは、生まれた若狭の谷あいの村から一度として外に出ることはないまま、そこで炭焼きや郵便配達をしながら、絵を描き続け、一生を終えました。

お二人の生き方は、全く異なるようですが、互いに分かり合う思いがあり、だからこそ水上先生と渡辺淳さんは、(年齢は水上先生が一回り上で、水上先生が渡辺さんを見出し著書の挿絵に抜擢した、といった経緯を超えてなお)、尊敬し合う良き友であり理解者であったように思います。お二人のご生前、どちらからもそういう思いを感じました。

テラでも何度か淳さんの展覧会をさせていただきました。ランプの絵、炭焼き窯のえ、仄暗い灯りの元を飛び交う蛾の絵、草むらの絵、茅葺の絵、たくさんの淳さんの絵が目に浮かびます。

清滝でも向坂典子さんと二人展をさせていただきました。清滝の自然をことのほか楽しんでくださり、清滝ではお客様とご一緒に散策しながらスケッチ会もしていただきました。その場の風景を切り取り、ササッっと描いていかれる様を目の当たりにできたことは貴重な時間でした。皆さんのスケッチを見ながらの合評会も楽しかったです。たくさんのファンがいらして、その多くの方ともいつも絵を添えたお手紙など交わしておいででした。

ご葬儀に向かう車の中で、若狭が近づくにつれ、青葉山が大きく前に見えました。若狭富士とも言われるこの山も、淳さんが好んで描いた山でした。テラに残る竹紙に描かれた青葉山の絵を見ながら、たくさんの思い出も宝物もいただいた渡辺淳さんにありがとうございましたと申し上げました。

「この谷の土を喰い、この谷の風に吹かれていきたい」という言葉そのものの一生だったと思います。

ものづくりに思う

 

少し前になりますが、以前から存じ上げているジュエリー作家の井澤葉子さんが、フィリピンからのお客様を連れて西陣テラに来られました。お客様のビンさんはフィリピンでも良質のアバカ繊維を産出し伝統的な編み物をつくる村のご出身で指導的な立場にある方、村ではとっても美しい光沢のある編み物が作られています。井澤さんは村の伝統工芸の手仕事を日本の需要につなげるお手伝いをされています。

以前より、村にも行かれた井澤さんからお話を聞き、その繊維の魅力にも惹かれていましたので、会った早々3人で繊維話で盛り上がり。アバカとバンブーの繊維の話、紙づくりの話など、互いに興味津々質問が飛び交い、たくさん聞かせてもらい話しました。
こういうとき、ものづくりには、国や言葉の壁や隔てがなく、すっと中に入って話がはずんでいけるのが楽しいところ。その後ご一緒に西陣の工房での組紐作りにもチャレンジして、手仕事の魅力と隔てのなさを楽しんだ1日でした。

村にはたくさんバンブーやアバカが生育しているようなので、いつか行って、ご一緒に繊維を取り出し、編み物や紙づくりをしてみたいなあ。

このところ、「ゴザ編み」「竹細工」「拭き漆」など、ものづくりにチャレンジする機会に恵まれ、その面白さを再認識しています。元来手は不器用でして、細かい精密な仕事は苦手なのですが、一から十までものを作っていくことにはとても魅力を感じます。自然の素材から衣食住の術を見つけてきた古の人のDNAが蘇るのでしょうか?「これ、こうやって作られているんだ」「作ろうと思えばできるものなんだ」と知ることも新鮮な驚きです。

そして、ものを手でつくる時、大方の場合によくある作業、「繰り返し」を続けるという作業にも、実はしばしば密かな心地良さを覚えます。「縦糸と横糸を交差させる」とか「繊維を水にくぐらせ紙をすく」とか「木に漆を塗っては拭いてゆく」とか、そうした単純な繰り返し作業は、ごちゃごちゃしょうもないことを考えがちな頭を空洞にして、無心になれるひと時で、私、嫌いではありません。

これからも、下手なりにも、暮らしに使える様々なものをつくっていってみたいと思っています。みなさんともそうした作業をご一緒もしたいし、逆にものづくりのプロにも、更に尊敬の念を持っていきたいと思っています。

 

竹紙照明の合評会へ

京都精華大学プロダクトデザイン学科の小山格平先生の授業にて、竹紙を素材に使っていただき、学生さんたちが思い思いの竹紙照明を作るという課題が行われました。

今年初めの授業で、私が竹紙についてのレクチャーを行い、竹紙をお渡しして、大学で学生さんたちの制作が続いていましたが、27日が制作発表日のことで、私も合評会に参加してきました。

どんな部屋のどんな場所に置くか、から始まって、自由なイメージで、「竹紙を使う」という以外は思い思いにつくられた照明。

「たけのこ」「観葉植物」「かぐや姫のマンション」「シャンデリア風」「障子・行灯風」などなど、和洋も発想もいろいろで、もちろん完成度に差はあれど、アイデアの芽がそこここに感じられ、小山先生のツッコミも的確愉快で、私にとっても新鮮な楽しさのある合評会でありました。

  

    

私が一番面白いと思った(独断と偏見ですが)作品には、ささやかな「テラ賞」をお出ししました。

この作品です。

 

照明を考える時、大概は、光源をどう覆い隠そうかと考えることが多いですが、この作品は竹ヒゴを紙で挟んだべっこう飴状の竹紙を林立させ、それぞれが向きを変えられる作りになっていて、陰影にも変化があり、ちょっと角度の違う発想とその効果に「いいね!」と思ったのでありました。

最後にみなさんとご一緒に記念撮影。みなさんお疲れさまでした!

小山先生ありがとうございました!