年別アーカイブ: 2016年

橋本治ワールド始まります!

橋本治作品展「形の情景」明日10月15日(土)~10月23日(日)

今日は橋本さんとご一緒に搬入飾り付けでした。

「お手伝いはどのように?」とお訊ねすると、困った顔で「どう指示したものかわからないです、、」とのお返事。

自分のペースで考えた方がいいのかな?と思い、見守っていると、

橋本さん、おおかたの作品を2階に上げてしまいます。「1階はどうなるの?」と???でしたが、飾り付けは静々と進みます。

夕方になってみれば、あら、いつの間にか、テラの1階も2階も、他の誰のものでもない、確かな橋本さんの世界がそこに出来上がっておりました。寡黙でシャイで繊細で、微妙なバランス感覚とセンスが光る、橋本ワールド、明日からいよいよ始まりです!

 

2階の景色が一変しました。ステンドグラスを通してみる清滝の景色。

 

ここは灯りの部屋。しずかに座って、もの思うひとときをどうぞ。

 

 

木のテーブルに立つ、小さな存在感のあるオブジェたち。

 

1階は、ほんの小さな力で、さざ波のように、いつまでもくるりくるり動き続けるモビールや、複雑な陰影を持つ照明など、ほの暗いゆるやかな空間にしあがりました。

あれ、テラってこんな表情の場所でもあったんだ。

どうぞ、お好きな空間で、ゆっくりした時間をお過ごし下さいね。

 

そうそう、18日と22日のモビールづくりのワークショップ、まだ申し込み承り中です。子どものおもちゃのモビール細工とはひと味違う、大人のビターなモビールですよ。どうぞメールでもお電話でもお申し込み下さい!

次の展覧会は「橋本治展」形の情景

10月15日(土)~10月23日 清滝テラにて開催します。

ステンドグラス、真ちゅう、紙などの素材を使いながら、まさに様々な「形の情景」を創り出す名人、橋本治さんの作品展です。

ガラスを使ったアクセサリーや鏡の独特の趣にも引き込まれるし、橋本さんの大人の万華鏡の世界には、いつもハッとさせられます。紙を使ったオリジナルな版画作品、空間に揺れる真ちゅうのモビール、自立するオブジェ、照明、いろいろな創作表現がありますが、どれを見ても、ああ、橋本さんの世界がそこにあるなあ!って思わずにはいられません。

 

 

今回は下記期中の2日間、橋本さんの指導で真ちゅうを使ったオリジナルもビールを造るワークショップもおこないます。

いつも寡黙でシャイな橋本さんに教えてもらえて、橋本さんの道具も貸してもらって、作る人それぞれに異なるオリジナルなモビールが作れるというのですから、これちょっと貴重な機会です。

10月18日(火)と22日(土)2日間(午後1時半から4時頃まで)を予定しています。ぜひご参加下さい。

紀伊国の手しごと作家たち、帰ってゆきました

展覧会が終わると、ホッとすると同時に寂しい気持ちになります。
がらんとしたテラの空間には、にぎやかだった作品や人の余韻だけがのこっていて、ふとした時に、声や笑顔がよみがえってくるようです。
そんな残像や火照りをさましつつ、ほったらかしになっていた家の仕事や歌人の世話や、たまってしまった事務仕事を片付け、そうこうするうち、また次の展覧会へと向かうことになります。

「紀伊国の手しごと作家たち」展開催中

さてさて、紀州から9人の作家たちがやってきました!

 

これは搬入のとき。

これからがんばるぞ、エイエイオー! と ときの声。

 

そして、にぎやかに展覧会始まりました。

会場すこしご覧にいれますね。

 

1階はこんな様子です。

 

手前はうるしの土器の石田佳織さん。

野焼きした土器にうるしを重ねて、強度と独特の質感を出しています。

 

 

17日、18日は、世界を旅するチャイ屋さん「Watte Chai」が、石田さんの素焼きの器にスパイスの効いたインドにいるみたいな気にさせてくれるチャイを入れてくれました。このチャイの器は、飲み終えたら「わってちゃい」、、、投げつけて割るのです。

私は、1杯飲んだら器にも愛着がわいてしまって、2杯飲んでから、気持ちの整理をつけて割ることにしました。

 

エイヤッ!

いい音して割れました。ああ、もったいない、、、いえいえ、割った器は、石田さんが砕いて、もう一度焼きものに再生するので、「破壊から創造へ」なのです。そうやって、人はさらなるところへ進んでいくのでしょう。

 

 

こちらはワタから糸へ、糸から綿へ、ものごとの始まりから行く末までを見渡し、じっくりと作品制作する菅野あゆみさん。

モノづくりは人の生き方でもあると感じます。肌に直接触って心地良い、手紡ぎ手織りの綿のストールや枕カバーなど手に取ってみてほしいです。

 

こちらは革製品の浜田靖史さん。

シンプルながら、存在感のある鞄。皮の小物やブローチです。

(南方熊楠発見の粘菌ブローチもあり!普通の人、これ作らんやろ)

人はそれぞれ何にこだわりを持つのか、モノから考えてみるのもおもしろいものです。

 

友斑定代さんの裂き織りのカバン。

服を制作するとき出る切れ端を細く裂いて織ったり、麻や葛の繊維を手織りして作品を作っています。

友渕さんの作品も暮らしの中から、何を大切にしたいか、いとおしみたいか、伝わってくるようです。

 

テラではおなじみ今竹生さんの竹紙。

いろいろな風合いの異なる竹紙をお楽しみ下さい。

 

2階にも作品たくさん展示しています。

 

澤口隼人さんの藍染めの服。

伝統的な工法による深い藍を基調に、あれ?と思うところに、素材の違いによる色の変化や濃淡ある水玉など、独特の遊び心が生きています。

 

こちらはこれまたこだわりの木彫り漆の小川和彦さんの作品。

杢のおもしろさに魅せられて、納得行くまで木を彫りだし、拭き漆を重ねる。料理もお上手というのに、「何かのために」を問うことなく、ひたむきに作品を作っています。

今回は木の魅力を生かした文鎮もあれこれ来ていますよ。

 

松本泉さんのベンチ。地元出身の松本さんは、地元の木材を使い、循環するモノづくりをめざして、座り心地のよい椅子を追求して家具を作っています。

 

 

 

奥の小部屋にあるのは松本泉さんの座椅子と今竹生さんのついたて。

4畳の小部屋にしっとりした空間が出現しています(実は、奥にお洋服のための試着コーナーも兼ねています)

 

あ、最後になりましたが、入り口近くには、人気の梅樹庵竹内さんの季節のジャムが。

今回来ているのは

栗とラム酒、イチジクと赤ワイン、白インゲン豆と柚子、梅と杏の4種類のジャム。

今回のためにオリジナル制作していただいたジャムは、フレッシュで深い味わいです!

梅とキンモクセイの花を浸け込んだシロップもありますよ。

「紀伊国の手しごと作家たち」展まもなくです

いよいよ今週末から「紀伊国の手しごと作家たち」展が始まります。

9人の個性異なるメンバーがそれぞれの作品を出してくれますが、17日、18日には、「世界を旅する創造と破壊のチャイ屋」Watte Chaiさんが会場に来場、スパイス香る濃厚なチャイを入れて下さいます。

「世界を旅する」「創造と破壊の」「スパイスの効いたチャイ」どの言葉にも惹かれてしまいますが、さて、「わってちゃい」っていったいどういうこと!?と思われる方もいらっしゃると思いますので、ちょっと石田佳織さんの言葉をコピペさせていただき、ご紹介します。

 

(以下、石田佳織さんのコメント引用)

17日(土)18日(日)の二日間
世界を旅する
創造と破壊のチャイ屋 Watte chaiさんがチャイ屋をしてくれます
その場でスパイスをすりつぶし、淹れてくれるチャイは
濃厚で癖になる味です
そして、そのチャイカップを飲んだあと
割ってもらうのですが(割らんともってかえってもOKです)
そのあと、私が持って帰ってすりつぶし
また土に混ぜて使うのです
それは私の焼き方が野焼きなので
土を荒くした方が野焼きのときに割れにくくなるために
そうするのですが
割るのを躊躇する日本人ですが
再生のお手伝いをしてくださいと言うと
「それなら」と協力してくださいます
そもそも、本場インドでは紙コップの乗りで
飲んだらポイッと割るらしいです
数年前に、はじめてwattechaiさんから注文を受けたときは
「割りたくなる器」といわれ、どんなんや~と理解するのに
時間がかかりました
最初は、手がかかりすぎて、きれいに作りすぎて
こんなんよ~割らんというものしか作れなかった
それから試行錯誤し
手数がかかったら、割られへんねんやと思い
ひゅいひゅいひゅいと3回以上はかけずに轆轤を回し
ようやく、近づいたかなと思い出せてるとこです
そもそも、器の修理を行っている私が
なんで、割りたくなる器????と思いますが
最近ようやく
器は器でしかない
食べやすいように葉っぱから少し毛がはえたものだった
今では自分が器を作るに当たって
おごり過ぎないように
言い聞かせるいいプロセスになって
チャイカップを作るたんびに
ぶれてる芯が軌道修正されています

 

以上

「紀伊国の手しごと作家たち」展のお知らせ

9月17日(土)~9月25日(日)11時ー17時(最終日16時まで)

和歌山県紀伊半島の山中に在住し、暮らしの中で手しごとモノづくりに励む9人の作家展を開催します。

竹紙を作る今竹生さん、綿から手紡ぎ手織りする菅野あゆみさん、地元の木材を使い家具を作る木工の松本泉さんなど、龍神村の方々のところへは以前から幾度も通っていて、そこもなかなかの山中と思っていたけれど、今回の展覧会のために、他の方々の工房や住まいの場もお訪ねして、山深い地で、自分たちの暮らしとものづくりをする姿勢にあらためて敬服の感をおぼえました。

手しごとのモノのうしろには、人がいて、暮らしがあり、地域がある。人の生き方や土地が見えてくると、モノって俄然おもしろくなりますよ。作品にも作家にも出会ってみて下さい。

 

(画像をクリックすると拡大します)

オリンピックの熱戦を見ながら

連日深夜のオリンピックを観戦していて、寝不足の日々が続いているが、このあとに続くパラリンピックも楽しみにしている。
今年はいつもにもましてエールを送りたい理由があるー。なぜなら、ちょっと縁のある選手が出場するはずだから。

話はもう25年以上前のこと、少し長い話になる。

京都に来て間もない私は、知る人も少なく、この地でどう生きていくのか模索中だった。
なにせ、夫以外に関西に知り合いは誰もいなくて、その夫も当時はずっと東京で仕事をしていた。私は夫の実家で義父を看るべく、幼い子供2人と2匹の犬を連れて東京から引っ越して来て、まもない状況だった。
ある日、北野天満宮前の喫茶店に入って一息ついていると、ふと1枚の紙に目がとまった。「英会話教えます」。
店にいた若い女性に聞いてみると、彼女の夫君がイギリス人で、英語を教えてくれるのだと言う。時間にもゆとりがあったし、この際、英語ももう少ししゃべれるようになるといいかもと思い、週に1度の英会話の家庭教師をお願いした。

気持ちの良いイギリス人青年で、英会話はもちろん、イギリスの文化や風習、ものの考え方なども教えていただき、あれこれ話した。はっきり覚えていないが、1年かもっと長く続けただろうか?

そのうち、私は琵琶湖岸に新しくできるという博物館(琵琶湖博物館)の開設準備の仕事につくことになり、英会話の勉強は途切れてしまった。
さらにそれから何年かして、寺町通の町家でテラを始めることになり、仕事にも加速がかかる日々となった。

そんなある日のこと、テラに、イギリス人の英語の先生と喫茶店にいた日本人の奥様のご夫妻が訪ねて来てくれたのだった。たしか、テラを始めたことが新聞記事になり、その記事を見て来てくれたのだったと思う。久方ぶりの嬉しい懐かしい出会いだった。
お二人にはお子さんが生まれていて、幼い少女がテラの2階を小走りに元気よく走っていたのをよく覚えている。実はそのとき、彼女のTシャツから出た腕が片腕であることに気づき、ハッとしたのだが、私もご夫妻もそのことについて話すことはなかった。

それからお二人、いや三人とは会う機会がないまま、長い日が経つこととなった。でも、彼女たちのことは、心の中に残っていて、どうしているかなあと思うことが時折あった。

そして、それから15年以上が過ぎた今年、新聞やネットのニュースで彼女の近況を知った。
彼女はスイマーになっていたのだ!
高校、大学と活躍目覚ましく、19歳の現在、個人メドレー、自由形短距離など、いくつかの種目で日本記録保持者となっているらしい。名前を見て、きっと彼女に違いないと思っていたところ、リオのパラリンピック代表選手としても選出されたことも知り、秘かにドキドキしていた。
ご両親が伸びやかに彼女を育て、彼女もそれに応えたのだろうと思う。

さらには、今、彼女はテレビのCMにも登場している。
「イチローが嫌いだ」という印象的なナレーションで始まるトヨタのCM、見たことある方も多いかと思うが、オリンピックアスリートが登場するいくつかのパターンのひとつに、彼女が泳ぐ姿が登場しているのだ。

一ノ瀬メイさん、19歳。
テレビの向こう側から、地球の反対側から、遠いながらも不思議な縁を感じながら、力強く応援しています!がんばれ!!

トヨタのCM

http://toyota.jp/wows/special/sports/ichinose.html

夜の二条城にて七夕文様帷子を

今日は夜の二条城へ行ってまいりました。


昨年清滝テラでも展示をしていただいた、後藤順子さんと高橋裕博さんの「七夕文様帷子」(国立博物館の美しい着物を二人が4年半の月日を掛けて再現したものです)が、京都市主催の「京の七夕」の一環として、世界遺産二条城の、国宝二の丸御殿台所にて、8月12日まで展示されているのです。


私はご近所ですので、自宅から自転車に乗って、夕涼みがてらに出かけましたが、城内は随所にライトアップされていて、海外の方や浴衣姿のカップルなどたくさんの人!
二の丸御殿では琴の演奏もあり、華やいだ雰囲気です。


そんな中、後藤さん、高橋さんも会場に詰めておられ、七夕文様帷子の展示はもちろん、お二人による制作解説などの時間もありました。

海外の方々も興味を持って見て下さっていて、希望者にはちょっと着物を羽織らせてくれたりもしていましたよ!


展示は8月12日まで、時間は夜19:00~21:30(入場21:00まで)。二条城の入場料大人500円が必要ですが、夕涼みがてら二条城城内も散歩でき、気持ちよかったですよ。

ジャワ更紗展報告

あれこれしているうちに日々は飛ぶように過ぎてー。

8月3日から7日まではジャワ更紗展でした。

会期中に会場の様子をアップしようと思いつつ、久しぶりの人々に会ったり、遠方よりの来客ありで、あ~っという間に会期は過ぎてゆきまして、昨日で会期は終了しました。

先程塚本幸子さんは我が家から旅立ってゆかれました(実際に九州に戻られるのは明日朝ですが)。

遅ればせではありますが、展覧会の様子を少しご紹介しておきます。

 

暑い夏を鮮やかに彩るジャワ更紗の数々がやってきました。

 

様々な色や模様はすべて手描き手染め。細かにロウで防染し、ろうけつ染めで繊細な模様が描かれています。

 

ナラサキシノブさんに仕立てていただいたロングブラウスやジャケットも、おしゃれで快適な装いでした。

 

小物や衣服もあれこれありましたよ。

 

塚本幸子さんの説明に耳を傾けました。

 

初日は、塚本達彦さん特製のくらくら麺も楽しみました。

 

下界は連日37~38度の猛暑でしたが、清滝テラの中は30度を超えることはなく、「涼しい」とまではいきませんが、クーラーなしにもかかわらず過ごせることは、ありがたいことでした。

川では家族連れや若者たち泳ぎ、私も清滝に泊まった早朝には、空也の滝で心正すひとときも持ちました。

 

今は、ひと山越えて、ホッとしつつも清々しい気持ちです。

7月3日の報告

遅ればせのご報告になりましたが、7月3日の「命を紡ぐ出会いの会」、緑の法然院にて無事終了致しました。
開場してみれば、お客様は次々来て下さり、当日お越しの方を含め、入場者は100名を越えました。

ドキュメンタリー映画「つ・む・ぐ」の上映会は1時間半の長さでしたが、ときに笑いが起こり、ときに涙があふれ、時間は短く感じられました。上映後には、吉岡敏朗監督が挨拶に立ち、軽快に端的に映画のことを語って下さいました。

 

休憩を挟んでからは、山本公成さん、ほしこさんの月ゆめライブ。笛の音が夕方の緑の法然院の内に外にと響き、いつまでも聞いていたい!と思う心地良さでした。凝縮した時を感じる演奏でした。

 

最後は船戸崇史先生のお話。
冒頭に用意されたパワーポイント映像がプロジェクターと同期しないというハプニングがありましたが、すぐに先生が頭を切り替えて下さり、「きっと今日はこれは使うなということなのでしょう」と生のお話にして下さったのです。それがまたよかった。生の言葉で私達ひとりひとりに具体的に語りかけて下さるようで、お話がダイレクトに中まで伝わった気がしました。

締めは船戸先生の音頭とりによる「かに踊り」。これ一度やってみたかったんです!私。人生は思うようにいかないことばかり、、、と思う時も多いのに、ほんとに言えるんだろうか?そんな思いもあったのですが、あなたもやってみればわかります。

「すべてはうまくいっている」言ってみることで、やってみることで、動くものってあるんだなあ!と。

最後は会場中がハグの渦となって、あんなに暑かったのに、汗もかいていたのに、そんなことはどうでもよいことに思え、知らない方も含めて、ホントに数多くの人と思いを共有する会となりました。
おかげさまで、福島の子供たちを和歌山と堺に招く保養キャンプへの寄付金は、当日の収益金(前回残金含む)と会場内でのカンパも合わせて、16万円余となりました。
皆様の大きなご協力に心より感謝します。

それぞれの方が、身近なところから、自分にできる何かを紡いでゆかれることを願ってやみません。
ありがとうございました。