季節は夏から秋へ、そして冬に向かっています。
暑さと寒さを繰り返しながら、次第に変わりゆく季節。
10月は展覧会を入れずに、数年ぶりに旅に出ました。
フェリーに乗って舞鶴から小樽へ、さらに日本海を北上して、稚内から礼文島へ。
礼文島に渡った日は、その年の北海道の山々に初冠雪が記録された日でした。
利尻富士も頂が白くなって、島に吹く風は強く寒く、気温は一桁、島の人たちも思わずストーブに火をつけていました。
島で、今回の旅の第一目的を達して、帰りに旭川に立ち寄りました。
こちらも大雪山系が真っ白になっていて、もう冬の訪れが近づいていることを感じさせられました。
旭川近郊の町に、ある人を訪ねました。
竹繋がりで、テラでも展覧会を開催したことがある竹工芸作家の近藤幸男さん。
10年近く前に本州から北海道に移り住まれて、北海道に自生する根曲竹だけを使って作品を作られています。寒さの厳しい北海道には、孟宗竹や真竹は生えていないので、細い根曲竹だけが材料です。クマに合わないように用心しながら、材料を調達し、竹を燻し、ヒゴを作って、制作に励んでおいででした。
どうしておいでかなあと久方ぶりにお目にかかりましたが、北の大地で、自分にしかできないお仕事をしっかり続けておいでの姿に、安心したり、勇気をもらったりしました。
本州にお住まいの頃は、花生けや茶道具などの繊細なお仕事が多かったと思いますが、それらに加えて、北海道ならではの生活雑器や川の水を濾過するための竹の堰?のようなものも注文を受けて作られることもあるとのこと。その土地の竹を使い、その土地にあった竹細工や竹工芸を作られていること、拝見できてよかったなあと思いました。
いつか、そうしたお仕事もテラでもお見せできる機会があるといいなと思います。
「北の竹工房」の近藤さんです。