年別アーカイブ: 2023年

9月の展覧会は「色と食と植」

9月23日(土)〜10月1日(日)「色・食・植」
村田啓子(藍染・柿渋染・墨染)
音座マリカ(植物画)
厨 鹿の出張料理(9/24日と9/25月)
村田啓子さんの昼食会(9/28木と9/29金)
よろみの寒麹・玄米餅・新米(予約)など

能登よろみ村の禅寺・龍昌寺に暮らす村田啓子さんは、畑をしながら、藍を育て、柿渋を作り、布を染め、墨で書を書く日々。お寺を継いだご長男の遼雲さんは、田を耕し、麹を作り、暮らしを一から十まで組み立てながら、禅の世界を追求しています。

三男の鹿さんは、京都で懐石料理の修業を積んだ料理人ですが、現在は石川県の山間地の古民家で、自身のスタイルでの和食料理の店を始めています(先日。NHKテレビでも取り上げられて反響をよんでいます)。その改築には次男で大工である弾さんやよろみ村の仲間たちが協力しました。そんな暮らし丸ごとから生まれる創作の展覧会を開催予定です。

よろみ村につながる長年の友人、音座マリカさんの植物画も展示します。野の花や植物たちが、生き生きスイングしているようです。

展示会場にて鹿さんの料理を食べられる日は、9/24(日)、9/25(月)となりました。9/28(木)と9/29(金)には啓子さんのランチとお話の会もあります。鹿さんは本格和食の修業を積まれましたが、その根底には、料理好きな啓子さんとよろみで培った「食と暮らし」があるように思います。
お二人の料理それぞれに楽しみにしています。少人数制ですので、どうぞ早めにご予約ください。

お寺で作る「寒麹」も楽しみです。「塩麹」を1年近く寝かせた熟成麹で、鍋でも炒め物でもサラダでも使える万能うま味調味料。一昨年よろみから来たものを使ってから、私、これがなくてはやっていけない!と思うくらい病みつきになってしまいました。是非お試しあれ!

内山貞和・北村美佳展終了

「夏の終わりに涼を感じながら」というには暑すぎる今夏でしたが、内山貞和、北村美佳展、無事終了となりました。

お茶会の日も暑い暑い日でしたが、山荘流の若き茶人、山田宗瑞さんは、さまざまな涼しさの演出を考えてくださり、「涼しさを感じる」という文化を教えていただいたように思います。

伝統文化から現代美術まで、表面的な形は変わっていきますが、人の心というものは、そう変わらないものなのでしょう。繋がり続いてゆく文化を心に抱きながら、これからを見つめていきたいと思いました。

人が使ったり食べたりしてきたものー木の実や石や骨や時にプラスチックまでーを使って「人新世」(人が活動期となっていた時代)の遺跡(?)を「身につける彫刻」として制作する内山貞和さん、

油絵からのスタートながら、水彩やスケッチなどの達者な平面制作にとどまらず、古材や廃材を使った立体制作で会場にたくさんの鳥たち(しかも古材や柿渋を使った渋い鳥から、夏色の軽やかな鳥までたくさん!)を飛ばせて下さった北村美佳さん。

それぞれに思うところを美の形に変え、見せてくださいました。

最終日には、近くにお住まいの村田聡さん、ひろこさん(音庭園)も来てくださり、終了前の会場で、会場作品を背景とした演奏もしてくださいました。

会場にお運び下さった方々、関心を持って下さった方々、多くの出会いをいただき、ありがとうございました。

夏の終わりの遊び心「内山貞和・北村美佳 展」

8月21日(月)〜31日(木)、夏の終わりの清滝で、内山貞和さんと北村美佳さんの展覧会が行われます。

内山さんは倉敷在住。ご自身の長年にわたる創作活動のほか、古民家を改修した「サロン・ド・ヴァンホー」なる空間を営み、これぞと思った芸術家を世に紹介するアートプロデュース活動や、地域を活性化する活動など、多方面にご活躍しておられます。京都で学生生活も送られた経歴から、京都にご存知のアーティストや芸術関係者のご友人も数多くいらっしゃって、ここ半世紀にわたる関西の芸術活動の歩みもよくご存じといえるのではと思います。

北村美佳さんは、滋賀県出身でやはり学生時代を京都で送られ、二科展や画廊での展覧会でも活躍中です。元々は洋画のスタートですが、滋賀の古民家に暮らされる中で、古材などへの愛着も増し、近年は立体造形作品も作っておられます。今回は夏色の鳥たちのオブジェをたくさん作り、遊び心を持って飛ばせてくださる予定とのこと。たいへん楽しみにしています。

さて、今回の展覧会のキーワードは「whimsy」ということばです。「風変わりな」とか「気まぐれな」と訳されることも多い言葉ですが、今回はそれを「遊び心」と捉えてみたいと思っています。
芸術に対し、本気で真摯に向き合うけれど、どこか遊び心ある作品展、それが今回の展覧会が目指すところです。

その一つの柱として、会期中の2日間、茶会を企画することといたしました。
小堀遠州の流れを汲む茶道山荘流の茶人である山田宗瑞氏にお手前をお願いいたします。
8月21日(月)と8月29日(火)、どちらも13時と14時半に予定しています。

一服のお茶をいただきながら、お二人の作品を眺め、今日の美術、芸術について風通し良く語りあう。本気で、真摯に、でも遊び心を持って。そんな一期一会の場になればと思っています。
どうぞご参加希望される方は、テラまでお声かけください。参加費は3000円です。

8月1日は時間の旅でした

展覧会の最終日は、清水範康さんによるギャラリートークがありました。
縄文の土偶を精密に再現しながら、金属であらたに細かく制作した作品や、今回のために木津川で採集してきた土器を使ったペンダントなど紹介していただきました。

木津川の河原には、今も室末鎌倉期ぐらいからの土器の破片がたくさん採集できるのだそうです。

皆、この「時代の旅」への採集ツアーにすっかり惹かれてしまい、清水さんをリーダーとして、土器ツアーに行こうではないか!と話が盛り上がりました。

空間だけではなく時間軸もまたいでの旅の話も、最終日にふさわしく、面白かったです。
最後の最後までお客さんも途切れることなく、「清滝テラで世界を楽しむ」展覧会、無事終了となりました。みなさま、ありがとうございました。

怒涛のインド、愛宕千日詣り

7月30日の清滝は「インド」の日でした。

パンジャブ州にあるゴールデンテンプルで行われているという「ランガル」方式を模して、床に座り、皆で分け隔てなく一斉にカレーをいただきました。料理を作ってサーブしてくれたのは、ポポダモムさん。実際にお寺で実食しただけでなく調理や皿洗いまでしてきたという女性です。

ギャラリートークは松岡宏大さん。地球の歩き方の編集やインドにあるタラブックスの本とも関わってきた写真家であり編集者です。1回目はインド先住民族についてだったようですが、階段途中まで溢れる満員の参加者のため、私、残念ながらお話し聞くことできず。

 

2回目のカレーの後には再びトーク。
今度は司会進行のワッテチャイさんに加えて、世界を旅して本も作り雑貨も販売するSnip!のお二人と松岡さんを囲んでの座談会で、旅の話をあれこれと。

こちらもクーラーなしの会場ながら、満員の人々。

現在、アメリカでも日本でも海外旅行する人の数は減っているのだとか。
松岡さんの「何度行っても旅先で足を踏み出す時にはいつもドキドキする」という言葉や、石原さんの「旅ではいろんなことが起きたりするけど、やっぱり若い人たちに旅に行ってほしい」という言葉を聞きながら、思わず頷く私でした。

世界にはたくさんの異なる人々がいて、異なる暮らしを営み、異なる文化のもとに暮らしている。世界には自分の当たり前とは違う世界がいっぱいある。やっぱりそれを知るだけでも旅に出た方がいいと思う。そして、旅ではしばしば想定外のことが起きるけれど、何かが起きないようにと考えるばかりでなく、起きた時にどうするか、が問われるのだと思う。
「若者よ、旅に出よ!」って、あら、なんか言ってること年寄りくさい?いやいやわたしもまた。

そして、なだれ込むように翌日は愛宕山千日詣り。

Watte chaiのチャイ屋さんと、ランビーくんのアルバラタ(全粒粉とじゃがいものおやき風)は道ゆく人の喉とお腹を潤して、夜更けまで続いたのでありました。

そして、オールナイトの夜はふけてゆきました。

 

 

 

ラオス、ブータン、エジプトへ

27日は、エジプトの国民食「コシャリ」をいただきました。料理人は千原佳世さん。

エジプト国民は何を食べるのだろうと思っていましたが、「米」でした。
エジプトでは8毛作だそうです!作るとあっという間にできちゃう?!その代わり、日本のように甘くてふっくらしたご飯ではなく、もっとさっぱりした味になるなのだとか。

しかもそんなご飯に、マカロニやらよく焼いた細い麺やら、豆やらを色々入れてあり、焦がした玉ねぎやトマトなんかも入った、一皿で完全食?みたいな「コシャリ」です。

雛豆のフムスや、ナスや赤ピーマンのペースト、スープもついて、野菜も十分に楽しみました。

 

後半はナラサキシノブさんの布と服の旅。

大量生産では扱えない、ラオス、インドなどの手紡ぎ、手織りの布を使って、デザインから縫製までしています。
今回は、近年行かれたブータンの布について、実物を見せながら紹介してくれました。

旅は中盤に

清滝にいながら「世界を旅する」10日間。旅はいよいよ中盤に。

26日は石田佳織さんの土器に発酵食堂カモシカさんの発酵5種弁当を詰めていただく日。

まずは石田さんの炊飯実演。

説明のお喋りをしている15分の間に蒸らしまでが仕上がり、炊き上がった甘いご飯を皆でちょっと試食。

そして、カモシカ代表の関恵さんにカモシカの発酵食のお弁当の説明をしていただきます。
カモシカといえばの麹納豆を始め、あゆ魚醤の旨味で味付けした卵焼き、糠や甘酒、ピクルスなど、発酵でパワーアップした野菜たち、そして、海苔とへしこふりかけがご飯と層になって入っているんです。

さあ、お待ちかねの実食!
すました顔の蓋の中には、まず中蓋が入っていて、小皿にもなります。そして、、、

はい、いただきま〜す!
ん〜、土器弁は蛸壺のように深いのに、おかずがたっぷり入っているし、下は下で、海苔やへしこふりかけが層になっていて、最後まで飽きさせることがありませ〜ん!
結構量があるなあと思いつつも、いつの間にか完食です!

食べ終わってみると、茶色だと思っていた土器弁の内側は、鮮やかなトルコブルーだったり、赤だったり、これは野焼きの際の酸化や還元によって、変化していくのだそうですよ。

始まりました!熱い日々!

始まりました。「清滝で世界を旅する」展。

1日目、2日目と進んできましたが、書くことが多すぎて、伝えることが多すぎて、追いつかない状況です。

 

阿部ひろ江さんは歌の旅。

武田春子さんは、中東での日本語教育から、アラブの人々の料理の世界に。

畑ゑり子さんは、アラブの白い砂をきっかけとして、世界様々な国と地域の砂を集め、それで絵を描くことに。

小松亭タマサートさんは、大学で淡水魚の研究をしていて、ラオスにいく内、次第にラオスの食と料理の世界に。(でも大学で論文を書くことも、料理を作ることも、目指していることに変わりはないという言葉に納得)。

でも、それぞれの旅の形、旅に求めるもの、旅から得ているもの、などが見えてきて、とてもおもしろ〜い!!「旅」というキーワードを通して、その「人」も見えてきています。

展示、ランチ、トークと次々続きます!

展覧会に参加していただく方の紹介 その7

展示ご紹介の〆は清水範康さん(旅するジュエリー)
清水さんとは、もともと2020年の夏に、テラで展覧会をご一緒する計画でした。その時出ていたお話が、松岡宏大さんが旅から持ち帰ってきたもので、清水さんがジュエリー作品を作る、という企画でした。
私はその企画をすごく楽しみにしていたのですが、清水さんはその年の5月に思いがけない病に倒れて、生死の境を彷徨い、意識が戻ってからも、長い闘病、リハビリ生活を送られました。でも、人はこうやって恢復していくことができるんだなあ!っていうお手本のような日々を乗り超えて、今、清水さんは日々の生活にも作品制作にも復帰されています。

今回の清水さんの展示作品は、「昔と今をつなぐ作品、時間を旅するジュエリー」 といった感じでしょうか。


清水さん、以前からすごく精密繊細な土偶作品を金属で作っていました。それは元は縄文人が作ったものでありながら、ものすごく現代的でもあり、どうかすると宇宙人みたいなものもあり、清水さんはそれを正確に模しながらも、オリジナルな作品に仕上げていました。
縄文人と清水さんは、どちらもそれらを自分の手で形作っていて、時代も状況も全く異なるのに、人の手って想像力ってすごいんだなあ!と思ませてくれるものでした。

今回はさらに、木津川で清水さん自身が発掘してきた土器の破片も作品に使われていて、それに、秋田の環状列石がある遺跡近くで、現代の人がつくったという「アカソ」の繊維をよったひも糸を組み合わせて、アクセサリーを作られているようです。


なんだか、時間も空間も超えた旅をしてきた作品が、一つの形となって清滝テラにやって来るんだなあって、今はそんなふうに思いながら、その作品到着を楽しみにしているところです。
8月1日(火)午後1時より清水さんのギャラリートークを予定しています。これが展覧会の最終日、お越しをお待ちしています!