暦の上ではまもなく立春を迎えます。
昨年は思っても見なかったコロナウイルスの出現に世界中が揺れ動いた1年でした。今年もそれは続いていて、世界中の誰もがこのウイルスのことを考えずに暮らしていくことは、まだまだ難しそうな状況です。いつになったら肩を叩き合いながらガハハと笑い合い、大勢で一緒にご飯を食べられる日が来るのかな、自由に異国の地を彷徨い歩ける日が来るのかな、と将来への不安や閉塞感は否めませんが、今はできないことではなく、できることを考えながら、体も心も萎縮しないように心がけていこうと思っています。
今こそ、人間の想像力、創造力が問われている気もします。どんなに閉塞的な状況でも、経済的に行き詰まった状況でも、身体的に動けない状況でも、頭の中は自由ですからね。心が羽ばたくことは誰にも止められはしませんよね。
今年のテラの展覧会もまた、コロナの状況次第で展示予定が変わる可能性もないとは言えません。でも、いま展示を予定しているのは、自分の足でしっかりと立ち、自分の食べるものは自分で作り、自身の判断で歩む生き抜く力の強い方々だと思います(私の勝手な見解ですが)。そうした人の創り出すものは、使う人に力を与えてくれると思うし、こんな時だからこそ、私たちも励まされ元気になる、心がリラックスする、そんな気がします。マスクと手洗いも大切だけれど、心の免疫力アップも大事ですよね。
もうひとつ、今後シリーズとして展覧会でやっていきたい企画も考えています。題して「もう一度復活したい暮らしの道具展」。
昔から使われてきた道具の中には、使い勝手が良く、持続可能で、便利で美しい道具がいろいろありました。現代社会はそれらを効率化省力化のために切り捨てて、使い捨ての大量生産大量消費に変えてきてしまったわけですが、昔の道具には、今だからこそもう一度復活させたいものが結構あると思うのです。
レジ袋を風呂敷に、プラスチック容器を竹のざるかごに、ウレタン容器を木と漆の器に、などなど、そういう身近な暮らしまわりの小さなことを、少しでも良い方向に変えていくことが、大きな何かを変えていくことにもつながるのではないかと考えています。
あ、もちろん竹紙、和紙もその一つです!
そんなこと考えています。どうぞよろしくおつきあいください。 (テラ 小林亜里)
2021年 清滝テラの催し予定
3月20日(土)~3月28日(日) 向坂典子作品展
コロナの収束を願って、いつもより少し遅い時期に向坂典子さんの作品展を開催します。土作りから窯焼きまでひとりでおこなう陶芸をはじめ、柿渋染布、はりこ、野花のスケッチ、型染め竹紙、金継ぎなど、自然を楽しみ、工夫して、生み出される作品の数々。薪ストーブの火を眺めながら、ゆっくりものづくりの楽しさをご一緒しましょう。
4月17日(土)~4月25日(日) もう一度復活したい暮らしの道具展 その1 風呂敷
コトノワ(新感覚風呂敷)、SHOKU(アジアの手織り布)、AFURIKA DOGS(アフリカの染め布)
ナラサキシノブ、三柴啓子、南沢洋子 辻中育子、友渕定代(現在決定の方々)
東南アジアや中南米やアフリカを旅している時、手織りの布を使う人々をたくさん見ました。服や腰巻もですが、時に荷物や家財道具を包み、時に野菜やパンや肉を包み、時に子供を包み行き交う人々を見て、世界中にある風呂敷の偉大さを改めて見直しました。
日本でもレジ袋が有料化となり、買い物袋持参の人が増えましたが、軽くて嵩張らずどんな形にも包める風呂敷のよさは、もう一度見直したいと思っています。伝統の風呂敷や北欧デザインのフリークロス、アジアの手織布、アフリカの染め布などの展示販売に加え、個人作家さんからも手作り風呂敷(あくまで使うためのもの)を1枚からでも募集し展示したいと考えています。私もと思われる方、テラまでお声かけください!
5月11日(火)~5月16日(日) ペルシャキリムと革のカバン展
アリアナキリムとアトリエフィスク
イランの遊牧民の織物キリムやジャジムを扱うアリアナキリムと、革のかばんを手作りするアトリエフィスクによるコラボ展を開催します。イラン出身のマルフィーさん(アリアナ)と世界を旅してきた奥井さん(フィスク)と向き合えば、いながらにして世界を旅する気分になれるでしょう。キリムをはめ込んだ革鞄のオーダーも可。会期中には半日でできる革のトートバッグ製作のワークショップ(15000円、予約制)も予定しています。ご予約受け付けます。
6月12日(土)~6月20日(日) かつみゆきお木の仕事展
静岡のベテラン木工作家、かつみゆきおさんの家具や木の仕事の展覧会を開催します。先日いただいたお電話によれば、かつみさん、寒波の中を四国八十八箇所廻りしてこられたそうですよ。80歳にしてものをつくり、人生を謳歌する姿にいつも元気をもらいます。
7月24日(土)~8月1日(日) 石田佳織の土器&清水範康作品展
命のパワー溢れる野焼きの土器作家石田佳織さんの作品展を開催します。土をひねり、窯を作り、野焼きした土器に漆を塗る、茶碗にも壺にも命の炎が燃える作品です。その佳織さんと長年の友人なのが、京都在住のジュエリー作家の清水範康さん。昨年生死を彷徨う大病をされ、年末に退院されました。昨年予定していた展覧会は延期し、今回どの程度作品を出していただけるか未知数ですが、状況が許せば、佳織さんと共にご参加いただきます。愛宕千日参りの時期ですから、もちろんWatte chaiさんにもチャイ販売をお願いします。
8月23日(月)~8月29日(日) 内山貞和作品展
〜身につける彫刻 身につけるレリーフ なつかしい未来に向かって〜
倉敷在住の造形作家、内山貞和さんの作品展を、夏の終わりの清滝で開催することになりました。
江戸時代の古民家を見事にリノベーションされた「サロン・ド・ヴァンホー」の主宰者でもあり、多くの芸術家との交流も深い内山氏が、学生時代を過ごした京都に、自身の新作を携えてやってきます。古いもの、自然の中で風化してきたものを、現代に未来に甦らせる作品をご覧いただけそうです。作品とも人ともゆっくり向き合うひとときをどうぞご一緒に。
9月25日(土)~10月3日(日) 村田啓子・石畑美津子・音座マリカ作品展
藍染 柿渋染(村田) / ビーズジュエリー(石畑) / 野の花の絵(音座)
能登山中のよろみ村で禅の世界を追求し、田畑を耕し、自給自足に近い暮らしを営む禅寺龍昌寺。その大黒さんとして食べ物を切盛りし、藍染や柿渋染をするのが村田啓子さんです。今回はそのつながりから、ビーズや古布で自然の生き物をジュエリーにする石畑美津子さん、野の花を独特のタッチで描く音座マリカさんと共に、3人の女性による展覧会が実現します。異なるジャンルの中にも自然や命に共通項のある展覧会となりそうです。
10月9日(土)~10月17日(日)塚本猪一郎版画展 + 大歯雄司似顔絵描きます
佐賀在住の美術家、塚本猪一郎氏の作品展を開催します。大学卒業後スペインで学び、国内外での受賞や制作発表も多数。谷川俊太郎氏の詩と絵をコラボレーションした作品もあり。版画作品を中心に、絵画、立体など展示するほか、2022年の版画カレンダーを販売予定です。シルクスクリーンで手刷りされる限定カレンダーで、毎年完売の人気作品です。
会期中、会場にて、同じ佐賀在住のグラフィックデザイナーにしてイラストレーター(さらに古湯映画祭代表でもある)大歯雄司氏による「似顔絵描きます」コーナーも開催します。その場であなたの似顔絵を彩色イラストに仕上げてお渡しします!
じつは、塚本さん、大歯さんはテラの小林正の大学時代以来の旧友です。個性豊かにそれぞれの道を進んだ三者がひさかたぶりに集います。会帰中のどこかに、お二人と小林正を交えての「シネマトーク」タイムも催したいと予定しています。
11月16日(火)~11月21日(日)小林斐子草木染織展~2021初冬彩点~
滋賀の自然から草木の色を見つけ、手染、手織りし、シルクやウールの着心地の良いコートや服やストールに仕上げるベテラン作家、小林斐子さんの展覧会です。紅葉の清滝を楽しみながら、自然の恵みと手仕事の魅力を味わっていただこうと思います。
*いずれも現時点での予定につき、詳細はHPをご覧いただくかテラまでお尋ねください。
*10月23日(土)~10月31日(日)に予定しておりました「 木と漆の器展」は、企画実現にもう少し時間が必要な様子です。お披露目できるのは、来年以降になりそうです。今しばらくお待ちいただければ幸いです。
*展覧会期以外は西陣テラにて竹紙竹筆の常設販売をしています。ご一報の上ぜひお越しください。