月別アーカイブ: 2022年4月

新緑とエネルギー

清滝は若葉が美しい季節です。

テラ会場にもエネルギーが渦巻いています。

これは山岸厚夫さんが数年前に右手で描いた漆作品。

こちらは今年になってから左手で竹紙に左手で描いた漆作品。

エネルギーの源はこのお二人。

漆作家、山岸厚夫さんとその片腕を担う夫人の敏子さん。

山岸さんのエネルギーの渦に巻き込まれるようにして、会期中の日々が過ぎていきました。

来られる方々も、みなさん力強くエネルギッシュでした。エネルギーが呼応しているのかなあ。

会期中後半戦に行った「へしこ茶漬け」も無事終了しました。

会場にはおくどさんの湯気が上がり、

発酵食堂カモシカさんによる、山岸さんの合鹿椀での「へしこ茶漬け」を、漆作品の並ぶ会場でいただくという、贅沢なひとときが実現したのでした。

カモシカの関恵さん、雄介さんご夫妻にも感謝申し上げます!

さて、展覧会も残すところ1日です。

 

「カモシカランチとギャラリーツアー」

初日4月16日は「カモシカランチとギャラリーツアー」のイベントが開催されました。

まずは、JR嵯峨嵐山駅前の発酵食堂カモシカさんにて。
山岸さんの器を使った発酵定食をいただき、なぜカモシカさんが山岸さんの漆の器を店の食器に選んだのか、漆と食の関係は?など、代表の関恵さんよりお話しいただきました。カモシカさんではマルシェのカウンターや四条にある店の「醸し棚」も、山岸さんに漆で仕上げてもらっているのです。

ドリンクやスイーツもいただいたところで、清滝へ場所を移します。

後半戦は、清滝ギャラリーテラにて、山岸さんと敏子夫人に山岸さんの漆作品についてのお話をお聞きしました。
みなさん既に器を使って食事も体感していますから、理解も深まり、質問も飛び交い、和やかな雰囲気で進行。いろいろな作品や制作に関するエピソードなども聞かせていただきました。

主催者が言うのもなんですが、充実した1日になったのではないでしょうか。

山岸厚夫展、進行中!

始まりました。山岸厚夫展。
エネルギーあふれる作品に圧倒される日々です。

正面には大きな2点のパネルが並びました。
向かって左は、数年前に山岸さん右手を使って木のパネルに漆で描かれた作品です。そして右は、今年になってから、山岸さんが竹紙に左手を使って漆で描いた作品です。

現在、山岸さんは数年前の脳出血後、右手の自由が効かず、左手のみを使って制作していらっしゃるのですが、そのパワーはまったく衰えることなく、右の作品と左の作品は呼応し合っているように思えます。
右手と左手、木と紙、黒と白、いろいろな意味で対照的であり、でもどちらも同じように力強く、山岸さんらしさにブレはない。今回の作品展を象徴している作品に思えて、今回のメインはこれ以外に考えられませんでした。

竹紙をこんな風に使っていただけるとは、思いもよらず。圧倒的な迫力です。

これらのパネルも竹紙に漆の作品です。モダンアートのようです。

伝統的なお椀や皿、鉢物などもた〜くさん来ています。

作品のこともイベントのことも山岸さんのこともまだまだ語ることがあるのですが、ありすぎてすぐには書ききれず、続きはまた明日。

いよいよ山岸厚夫作品展

さて、山岸厚夫作品展〜着古したジーンズのように漆を!〜いよいよ明日4月16日からです。山岸さんの溢れ出るエネルギーをたっぷりとご覧いただきたいと思います。

会場正面には、二つの特大の漆作品がバ〜ン!と並びました。
ひとつは数年前、病に倒れる前の山岸さんが右手で制作された木の漆作品です。もうひとつは今年になってから山岸さんが左手のみで描かれた竹紙の漆作品です。二つの作品は、「木と紙」「黒と白」「右手と左手」とまったく対照的な作品なのですが、どちらもすごく山岸さんらしくて、すごくパワフルで、今回の展覧会を象徴しているような作品です。ぜひ本物をじかに見ていただきたいので、今日はまだアップしませんよ。明日カモシカランチとギャラリーツアーに来られる方は、会場にてご覧くださいね。どうぞお楽しみに!


伝統的な越前漆を基礎に置きつつ、ストーンウォッシュのジーンズの如く、一旦たっぷり木地に漆を染み込ませた後に、漆を重ね、それを研ぎ出して根来塗りにしたり、ラフな刷毛塗りにしたり、山岸さん独特の漆塗りの世界が展開された漆器類。どうぞ手に取ってご覧ください。漆の展覧会に行くと、あまりにピカピカに磨かれていて、触ることも手に取ることもためらわれて怖くなるような作品もあるけれど、やっぱり暮らしの中で実用に使うものが触ることもためらわれるようでは困ります。

 

漆の魅力をいろいろな角度から再認識するような展覧会になればいいなあ!と思っています。ぜひ会期中にお運びいただければ幸いです。

 

山岸さんご夫妻は、16〜18日(夕方帰路)、23日(午後〜)、24日、在廊予定です。
テラの竹紙が、山岸漆でどのように変化したのか、も、お楽しみに!

5月、江崎満作品展のお知らせ

能登半島の山中で、自然と共に暮らし、カヤックをあやつり、魚釣りに夢中になり、「生きるを楽しむ」江崎満さんが、生まれて初めて入院しました。血栓症だそうです。江崎さんを知る人は、誰もが「あの江崎さんが?!」と驚かれたと思うのですが、一番驚かれたのは、江崎さんご自身だったと思います。

ご様子はいかがなものだろう?展覧会はどうしたものか? とひそかに悩みましたが、まずは静かにご本人からの連絡を待とう、と思いました。
お医者さまからは手術という選択肢も上がったそうですが、予想していた通り、江崎さんは退院され、投薬治療は続けながらも、展覧会は予定通り行う、ということになりました。

江崎さんならそうされるだろうな、と思っていました。
私も気を配りつつ、無理なく、悔いなく、展覧会を実施したいと思います。

 

展覧会中、5月7日(土)と8日(日)には、江崎さんの旧友で綾部のこだわり蕎麦処「あじき堂」さんによる出張そばがあります。さっぱりした「おろしそば」のほか、黒蜜や綾部産の日本蜂蜜をかけていただく「蕎麦団子」もあります。あじき堂さん自家製の梅干しや揚げそば、綾部産の物産少々も販売されます。12時〜14時ごろを中心に。

5月8日(日)午後2時からは、やはり江崎さんの旧友であるDuo睡蓮の井原伸二さん久美さんによるツインギターとボーカルの投げ銭ライブも行います。
お二人も大きな病と向き合い乗り越え、この日兵庫から来てくださる予定です。

世の中は、コロナあり、戦争あり、病あり、天変地異あり、いつ誰に何が起こるかはわかりません。やはり「今を生きる」「今を生き生き生きる」、そのことは心せねばならないと思います。
無理なく、悔いなく、楽しく、それから、、? そんな展覧会にしたいと思っています。

 

山岸厚夫展、カモシカランチは満員御礼、へしこ茶漬けいけます!

4月16日(土)〜4月24日(日)山岸厚夫作品展〜着古したジーンズのように漆を!〜
初日に行われます「カモシカランチとギャラリーツアー」につきましては、おかげさまですでに定員となりました。これからはキャンセル待ちのみの受付とさせていただきますので、どうぞご了承ください。

なお、4月20日からの数日間は、清滝ギャラリーテラ会場にて、カモシカ食堂のへしこ茶漬けを山岸厚夫さんの漆の合鹿椀で召し上がっていただくことができます。(12時〜14時ごろまで)

あ、「へしこ」はご存知でしょうか? サバの糠漬けのことで、北陸地方の発酵保存食です。生のサバを塩漬けしてから糠に長期間漬け込んだもので、独特の風味や旨味が、クセになる美味しさです。

この「へしこ」ををおだしの効いたお茶漬けで食べるんです、山岸さんの合鹿椀で!

あ、「合鹿椀」はご存知でしょうか?元々は、北陸能登の合鹿地方で作られた漆器のお椀で、大振りの深い椀で、高台が高く、どっしりした味わいの漆椀です。へしこ茶漬けを味わっていただくにはうってつけと思います。

カモシカさんのへしこ茶漬けをギャラリー内で、山岸さんの器で味わう贅沢を、どうぞぜひお試しください! 価格は880円。材料があれば予約なしも可ですが、お昼に合わせて、テラのおくどさんでかまどご飯を炊きますので、できればご予約いただければ確実です。
(材料がなくなりましたら終了とさせていただきます)

コブシ咲く、桜咲く、

展覧会始め、清滝ではまだ蝋梅、白梅、紅梅が見られたのに、

展覧会が終わって搬出日には、佐野藤右衛門さんの枝垂れ桜も咲いていて、我が家ではコブシが花盛りでした。

今年はコブシも枝垂れもソメイヨシノも、みんな一緒に一斉に咲き出したみたいです。

向坂典子展終了

向坂典子さんの展覧会「食いしん坊のうつわ屋さん」無事終了しました。

展覧会タイトルの通り、食べ物が美味しく楽しく食べられる器がたくさんやってきて、そんな器から美味しい食べ物が生み出され、美味しく盛り付けられ、残り物さえ美味しく(美味しそうに)保存されました。そしてそんな光景を見た方が、器を求めてくださいました。

 

それぞれの家に連れ帰られた器たちは、今頃、それぞれの家庭で、その威力を発揮していることでしょう。

展覧会恒例の野点茶会では、今日という日に偶然にも集ってくださった参加者の方々に加え、能管奏者の野中久美子さんとユニット音庭園のお二人(村田聡さん、ひろこさん)も加わってくださいました。


この日が初顔合わせだったにもかかわらず、いつの間にか皆が場に溶け込み、音は重ね合わされて、声も言葉も紡がれてゆきます。人も、水の流れも、春近づく木々も、調和こそすれ、邪魔はしない。笛が、ピアノが、ボイスが、水の流れとともに流れるように広がってゆきました。
テラに戻り、室内でも少し演奏を。


音庭園のお二人の調べが静かに流れる中、参加者の何人かは、おしゃべりしながら、柿渋布であずま袋の縫い物を。その不思議な日常感に、ふと穏やかな平和を感じました(それもまた、つかの間のことかもしれないけれど)。
どこの国にも、誰のもとにも、そういう穏やかな日常がやってきますようにと願わずにはいられません。

「食いしん坊のうつわ屋さん」が作った器で、楽しいあさげやゆうげが生み出されていることを想像しながら、展覧会とその片付けを終えました。
向坂典子さんはウサギのそうちゃんと共に、若狭に戻っていきました。
ふたりにとっても、日常のような旅でもあり、旅のような日常だったかもしれません。おつかれさまでした。