年別アーカイブ: 2021年

11月のこと

バタバタと目の前のことに追われているうちに、11月も飛ぶように過ぎてゆきました。

比較的穏やかな小春日和の中で、小林斐子さんの草木染織展が行われました。

真ん中にはどど〜んと安曇川の草花が活けられて、さまざまな草木で染められた織りのコートやジャケット、染めのワンピースやTシャツなどが並びました。

清滝川沿いの紅葉も、最初は柔らかなオレンジ色でしたが、好天続きの中、次第次第に赤く染まっていきました。

2日間行われた真綿紡ぎと原始機の講習会も、みなさん真剣に取り組みました。
蚕の糸を少しずつ引き出しながら糸にしていく作業は、気の遠くなるような時間と手間に思えます。こうして糸が出来上がり、それを草木染めし、さらに手で織り、ようやく紬の反物になるわけですね。

さて、クイズです。この大豆、何の意味があるかわかりますか?
真綿糸を紡いでいくとき、少しふやけたこの大豆がちょうどいい絹糸の重しの役目をしてくれるのだそうです。何で桶に大豆が入っているのか、不思議だったんですけれど、昔の人の知恵ってすごいですよね!

 

そうそう、会期中には月蝕もありました。

ちょうど良い満月の夜で、ちょうど欠けていく時間帯に外にいて、不思議な満ち欠けの過程を眺めることができました。

日に日に色づきを増していく紅葉を見ながら、会期が終了すると、木枯らしが吹いて、急に季節が秋から冬へと変わってゆきました。

さあ、11月が終わると、はや師走です。1年、早かったなあ。

2022年の竹紙干支はりこ

少しずつ寒さが進み、紅葉の季節も近づいてきました。
毎年恒例の竹紙干支はりこ、制作が進んでいます。
来年は令和4年、干支は「寅」です。

制作はおなじみ向坂典子さん。
11月半ばごろには数が出来上がってくると思いますので、11月16日〜21日の小林斐子染織展か、それ以後は西陣テラにて販売しております。
ご遠方の方にはご送付もいたしますので、ぜひお声掛けください。
価格は毎年変わらず1500円+消費税=1650円 (送料は200円〜)

11月の展覧会 小林斐子草木染織展

暑かった日々から急に季節が変わり、扇風機をしまうと同時にストーブを出してしまいました。
10月の展覧会も終わり、11月の清滝テラの催しをご案内します。

2021初冬採点 小林斐子草木染織展

自然から取り出した色で染め、手織りし、着心地の良い服に仕立てています。コートやジャケット、パンツ、Tシャツなどのほか、ストールや小物もありますよ。

今回は11月19日、20日に、原始機で絹のミニストールを作る講習
または、真綿紡ぎ(伝統的手法で絹糸を紡ぐ)講習
も開催します。各3名ずつ 参加費3000円 要予約
お気軽にお申し込みください。

会期中、展示はどなたもご自由にご覧いただけます。

清滝周辺の紅葉も見頃の時期と思いますので、会場の中でも外でも秋を満喫してくださいね。

似顔絵描きも始まりました

塚本猪一郎さんにやや遅れて、大歯雄司さんも到着し、10日からは似顔絵描きも始まりました。

これはディジュリドゥ奏者の古川英正さんと大歯さん。
描いている様子を見に行こうとしたら、あっという間に出来上がっていました。

基本的に会期中やっていますのでお試しあれ(ただし、大歯さんがどこかへふらりと出かけない時は、ですが)。この日時に是非、という場合はご予約くださいね。

 

塚本さんは11〜13日不在で、14、15日在廊予定です。

明日から展覧会はじまります!

塚本猪一郎さんが佐賀から京都に到着されて、搬入設営作業を無事終了いたしました。
先週までとはガラリと雰囲気が変わって、「ほんとに同じ空間なの?」と言いたくなる、「変身!」の清滝ギャラリーテラです。

塚本さん(写真右)の高校時代からのご友人、有田武史さん(左)も佐賀からご一緒に来られて、設営をお手伝いいただきました。ニューヨークに40年近く在住されて、版画工房のお仕事をされていらした方だそうです。

明日の昼には大歯雄司さんも到着予定です。
何が始まるのか、なんだかワクワクする新たな展覧会の始まりです。

塚本さんの作品は、強いて言えば、抽象画、っていうことになるのかもしれないけれど、見ていると、絵からストレートな感情が弓矢が放たれるみたいに伝わってきて、胸がキュッとなる絵だと思うなあ。

絵とタイトルの関係も面白いんです。その言葉にも惹かれます。

塚本猪一郎作品展 + 大歯雄司似顔絵描きます!
会期 10月9日〜17日
会場 清滝ギャラリーテラ(京都市右京区嵯峨清滝町11−2)
初日午後2時前後には、会場内にて、塚本さん、大歯さん、それぞれのご紹介を兼ねて、15分〜20分くらいのギャラリートークを予定しています。
10/14(木)午後3時よりは、塚本さん、大歯さんに、テラ小林正も加わって、会場内でシネマトークも予定しています。作品に囲まれて、映像をめぐる話題を中心に、こちらは少しゆるゆると、ご一緒の時間を楽しみたいと思います。
どちらも無料ですので、お時間許す方はぜひどうぞ!

塚本猪一郎作品展+大歯雄司似顔絵描きます

10月9日(土)から17日(日)まで開催される
塚本猪一郎作品展+大歯雄司似顔絵描きます
の会期が近づいてきました。

初日の10月9日(土)午後2時頃から、塚本さん、大歯さんによる各15~20分くらいのギャラリートークを予定しています。あまり長すぎない形で、作品鑑賞への誘いになるようなご紹介を、と考えていますので、どうぞ会場にてお気軽にお立ち合いください。

塚本さんは、10/9(土)、10/10(日)、10/14(木)、10/15(金)の4日間、在廊予定です。

 

大歯さんは、10/9午後から最終日まで在京予定です。会場にいるときには、予約なしでも、似顔絵描き(10〜15分でスケッチして彩色による似顔絵色紙を仕上げます。500円)を承りますが、どこかへ出かける日もないとは限りませんので、この日に似顔絵を、と希望される方は、メッセージやお電話などであらかじめご予約いただければ確実です。
写真からの似顔絵も可能ですよ。お孫さんやおじいちゃんおばあちゃんへのプレゼントなんていかがですか?

 

10月14日(木)午後3時からは、テラ小林正と塚本さん、大歯さんの3名で、シネマトークを予定しています。小林がこれまでに撮ってきた映像をチラリとお見せしたり、大歯さんが代表を務める古湯映画祭の話、それぞれが好きな映画の話、そして、小林とっておきの、あの映画監督ゆかりのエピソードなどご披露したいと思っています。お楽しみに。

「しぜんをかたちに」展終了

「しぜんをかたちに」展終了しました。
会期後半は快晴に恵まれ、昼間はミンミンゼミが鳴き、夜には鹿の鳴き声が響く夏のような秋のような清滝です。

村田啓子さんは、最終日、早朝から愛宕山に登られ、昼には下山してこられました。足もガクガクしていなくて、「まだ大丈夫そうだわ」とのこと。さすが甲府出身で南北アルプスを見ながら育った山女です。10月4日、元気に能登への帰路に向かわれました。よろみでは畑と稲刈りが待っているそうです。

石畑美津子さん、音座マリカさんとのコラボレーションも楽しい展覧会でした。
石畑さんのブローチにキノコがあるかと思えば、音座マリカさんの絵にもキノコの群落が描かれ、マリカさんのアケボノソウの絵を見ていたら、清滝川でもアケボノソウが咲いていて、色々シンクロしているように思えました。

最終日近くになって、毎日見ていた2階の窓から、カラスウリの縞模様の実を見つけました。

「しぜんのかたち」をいろいろな表現で楽しんだ会期でした。

「しぜんをかたちに」展、後半です

10月に入りました。朝晩は少し寒さも感じる清滝です。
「しぜんをかたちに」展も終盤に差し掛かり、会期もあと2日となりました。

懐かしい方、いつもありがとうの方、初めましての方、いろいろな方が来てくださり、作家や作品との出会いを楽しんでいただいています。

石畑さんの作品は古布とアンティークビーズやボタン、ジュエリーなどを使う華やかなものです。海の生き物が多く描かれていて、ウニや貝、クラゲなど、ちょっと意外な、でも海の中の造形の豊かさを感じさせてくれる作品です。

音座マリカさんの野花の絵も植物の造形の豊かさを堪能させてくれる作品です。そして、植物なのに、どこか踊っているような動きを感じさせてくれるのも、茉莉花さんの野草画の特徴かと思います。

これはアケボノソウという植物です。白い花びらの中に緑の斑点がある、ちょっと変わった花です。マリカさんの絵で楽しんでいたところ、ちょうど清滝川の河原で、この花が咲いているのを見つけました。嬉しい出会いでした。

これは村田啓子さんののれん。左の作品は、啓子さんが住むよろみ村龍昌寺の敷地内から見る夜の景色を彷彿とさせます。暗いシルエットの山並み、霞む空、広がる満天の星。藍1色でこれを表現できるっていうのもすごいなあと思います。

これは柿渋のワンピース。一見なんでもない縞模様ですが、これ、一本ずつのラインを全て、筆でフリーハンドで書いているのです。定規の直線とは異なる柔らかさがあり、また、柿渋は描いたすぐにははっきりした色は出ないので、このラインを描くの、実はすごく難しい技なんです。そう知ると、すごく貴重な作品に思えます。

そんなことを聞いたり話したり見たり出会ったりしている間に、会期もあと2日となりました。
さあ、今日はどんな日になるでしょうか。

 

「しぜんをかたちに」明日から

ぶじ搬入を終えました。

染色、アクセサリー、絵画と、3人の作家がそれぞれ異なるジャンルの作品をつくっているのだけれど、不思議と違和感なく、一つの空間に溶け合って仕上がったように思えます。

3人が旧知の仲ということもあるけれど(でもよく会っているというわけではない)、やはり「しぜんをかたちに」という共通項があり、もともとそのテーマに近い感覚の持ち主、というのもあるのではないかと思います。

少しずつシンクロする3人の「しぜんをかたちに」、どうぞお楽しみください。9月25日(土)〜10月3日(日)までです。

「しぜんをかたちに」展 作家紹介その2

9月25日〜10月3日までの「しぜんをかたちに」展。
3人の作家紹介、最後の〆めは村田啓子さんです。

村田啓子さんは能登にある禅寺龍昌寺の大黒さんです。龍昌寺はもう40年余りも前に、啓子さんのご夫君である僧侶の村田和樹さんが、禅のあるべき姿を求めて、金沢の寺を離れて移り住み、山林の開墾から始めて、寺を作り、水を引き、田畑を耕し、人が集ってきたお寺です。

この場所のことを語るとき、「無いという豊かさ」という言葉を思います。いろいろな時にそのことを思うのですが、象徴的な話を二つ。

村田啓子さんとご一緒にお料理を作っていたときのこと。
味噌汁の出汁を取るのに、煮干しが2匹しか入っていませんでした。私だったら、少なくとも5〜6匹はバラバラッと放り込みます。「えっ、たったの2匹しか入れないの?!」と思いましたが、啓子さんはこれで十分だと言います。
半信半疑でしたが、出来上がった味噌汁は、しっかり出汁が出ていて、とてもおいしいものでした。「なんで〜?!」
その煮干しは、能登の海でとれたイワシを、啓子さんが自分で干したものでした。新鮮で濃厚で、少量でも旨みが十分に出て、それに自家製の野菜と味噌が入れば、味噌汁は十分すぎる美味しさでした。あの味噌汁はちょっと衝撃的で忘れられません。

 

もう一つは卵の話。
龍昌寺のあるよろみ村では、共同で鶏を飼っています。配合飼料を使わず、米糠やクズ野菜などを混ぜた餌をやっているそうなので、時に、次々と卵を産まない時もあるそうなのです。
それで、啓子さんは、数少ない卵を料理に使うため、一個の卵を、朝ごはんに半分食べて、残りの半分を子供のお弁当に入れていた、と話してくれました。
スーパーで買う卵は10個で200円もしない安さです。それを1個の卵を朝と昼で半分ずつに分けて使う家がある、、、私、なんかすごいカルチャーショックでした。

 

龍昌寺の暮らしは、物が潤沢にあるわけではありません。冬は深い雪に覆われます。それでも、自分たちで作れるものは自分たちの手で作り、藍を育て、渋柿から柿渋を作り、自然の恵みに感謝して、ないものの中から工夫して作り上げて暮らしを営んでいます。
「無いという豊かさ」に満ちている気がするのです。

村田啓子さんの藍や柿渋の作品は、もちろん作品としての魅力もあるけれど、そんな暮らしの窓口として、いつも心惹きつけられる存在です。