今、京都市内の普段公開されていない寺社仏閣の文化財が特別公開されていて、その一つにすぐ近所のお寺があったのでちょっと覗いてきました。
報土寺というお寺ですが、五番町の角にあり、おばあちゃんから聞いていた名前は「投げ込み寺」。五番町が遊郭だった頃、女郎さんが亡くなるとそのお寺に放り込まれたところだとかねがね聞いていました。
勝手に暗いもの悲しいお寺を妄想していたのだけれど、そんなことはなくて、本堂とご本尊は重要文化財だそうです。ごく身近なところなのですが、足を踏み入れたことは一度もなく、ましてやこんな文化財があったなんてちっとも知りませんでした。
ご本尊の木造阿弥陀如来像はスラリとした阿弥陀如来さんで(普段は国立博物館に預けられていて今回里帰り中だそうです)、本堂の裏には軍師・黒田官兵衛の妻、照姫のお墓もありました。
やや五番町を感じさせたのは、境内にあった腹帯地蔵尊と遊女観音(遊女観音はちょっとあっけらかんとしたイメージでしたけれどね)。
水上勉先生も「五番町夕霧楼」の舞台とされ、エッセイにも多く書かれ、また私も先生とお会いした頃によくお話もしていた五番町にあるお寺。それにしても、京都にはそこここに日常の片隅に、いろんな歴史が層のように積み重なり隠されているのだなあと思いました。