「ことばの勉強会」を終えて

11月9日、「ことばの勉強会」が終了しました。

苅谷夏子さんと金水敏先生、お二人のお話を聞き、ご参加いただいたみなさんともいろいろなお話をしながら、ことばの海に学び遊んだ一日でした。あらためて、日本語は豊かな言語なのだなあと思いました。

日常的なコミュニケーションの中でことばが大切なのはもちろんのこと、医学でも技術でも契約でも取扱説明書でも、ことばを理解していなければ大変困ります。また、人は話すことばを通じて、相手がどういう人かを知り、その人の立場を知り、役割を演じることもできる。さらに、ことばの端々からは、その心の奥に潜む小さな思いまでを汲み取ることもできるのだと感じました。

苅谷さんの授業(大村はま先生の中学生向けの単元学習をそのまま参加者の皆さんとやるのです)は、隅田川の花火大会の新聞記事を4紙見比べて表現の違いを比べる学習でした。大人でも漠然と考えると難しい学習と思いましたが、そこは大村先生のてびきの技が光ります。ちょっとした「観点」を持って考えていくと、不思議なほど具体的に違いが浮かび上がってくるのに驚きました。ちょっとしたマジックショーのような授業でした。

金水先生は、話し言葉の研究がご専門で、その代表とも言えるのが「役割語」の研究です。「役割語かるた」はとてもわかり易くおもしろい!老人や子供やお嬢様やおっちゃんや奥さんの絵札と話しことば札の組み合わせがピッタリはまったりずれたりすると「な〜るほど!」と膝を叩くようで、ことばと役割の関係が明らかになっていくのでした。

後半は、村上春樹の小説と方言の関係を紐解く講演で、実は関西出身である村上春樹が関西弁を封印して標準語で小説を書いていったこと、そして再び関西弁の封印を解いていくさまを、その精神的な背景とことばの関係から明らかにしていくという、ちょっと心理学的な推理小説のようなことばの世界へのアプローチでした。(そこには金水先生ご自身の若き日の大阪ー東京体験もオーバーラップされていたのです)

あっという間に時間は過ぎて、質疑応答から懇親会へとみなの会話は途切れることがなく、みなさんのことばを巡る話題もその振れ幅の広かったこと!

贅沢な会をさせていただきました。ありがとうございました。