年別アーカイブ: 2021年

ふろしき展出展者紹介その8 辻中育子

辻中育子さんとは、テラが寺町通にあった頃からのおつきあいです。これまでに幾度か写真展を開催されてきたので、私の中では彼女は「写真家」なのですけれど、近年、古布などを使い、服をつくり布を使った作品づくりもされています。

写真にも布仕事にも、独特の視点と世界観があって、いわゆる流行りの洋服や民芸調の布仕事とは一風異なる、辻中ワールド(秘かにフフフと楽しみ、秘かに激しくぶっ飛んだ世界かな)を感じます。

風呂敷はご自身でも以前から作り、実際に使っておられるそうですよ。

18日午後1時30分より、会場にてギャラリートークを予定しています。

ふろしき展出展者紹介その7 友渕定代

和歌山の山中に暮らし、ご夫君と共に土と藁の家、ストローベイルハウスを手作りし、畑を耕し、人の手と自分の手で作り出した植物の糸を染め、手織りして作品を作られています。


今回も、苧麻やアロー(イラクサの仲間の植物)、藤や茶綿など、いろいろな植物繊維を手織りして風呂敷を作っていただきました。それぞれの作品には、定代さんによる手書きのメモがついています。ゆっくり読んでいただくと、植物から布ができていくまでの物語が見えてくると思います。


端切れを活かした裂き織りもされています。

ふろしき展出展者紹介その6 鳥巣祥子

大学で型染めを学び、卒業後京都の川勝染色研究所で友禅制作彩色部で働き、結婚後少しずつ作品作りをしています。
2年前に川西市から篠山市に引っ越してきました。年末には祈祷の獅子舞が家々をまわり、集落の人皆で神社の門松を作るために、松から何から山に切り出しに行きます。ふきのとうを発見し天ぷらにしてみたり、昔の暮らしを季節ごとに感じることができている気がしています。

鳥巣さんは、今回の出展者の中でお一人だけ私がお会いしたことがない方です。この企画を立ててみなさんに呼びかけていたところ、ある方からお電話をいただきました。「この展覧会にぜひ推薦したい人がいるのです」とのこと。ご自身が作品を出すのではなく、推薦です。
それが鳥巣さんでした。私たちは連絡を取り合い、作品を見せてもらい、互いを紹介しあって、ご一緒にやりましょうということになりました。作品を通してその人を知る、理解するっていうのもいいな、と思っています。

 

ふろしき展出展者紹介その5 三柴啓子

以下はご本人の言葉です。
「三柴啓子は魚が好き、ずっと好き。海に潜っても、本を見ても、図鑑を見ても、見飽きない。ついでに両生類や海洋生物も好き…。形や色で色々なことを表すのが、自分にはピッタリ合っていて、いつまででも出来る。つまり自分は、色と形でモノを考えている、と最近思います。
地球を出来るだけ汚さないのも良い。で、餅粉、米粉、塩…食べられる物で防染し染める糊型染が1番性に合ってる、と悟って以来、江戸時代の宮崎友禅斎さんと同じ技法で、性懲りも無く染めています…。」

テラの小林と三柴啓子さんは、福音館書店より『町の水族館と町の植物園 さかなやさんとやおやさん』という絵本を共著しています。魚屋さんを町の水族館に見立て、八百屋さんを町の植物園に見立て、たくさんの魚屋さんや八百屋さんを観察しスケッチし食べて絵本を作りあげました。1995年の出版ですが、現在12刷の小さなロングセラー。一緒に絵本を作ろうとお声かけしたきっかけのひとつが、当時見た啓子さんの魚の型染めがとても魅力的だったからでした。

4月21日午後2時よりギャラリートークを予定しています。

ふろしき展出展者紹介その4 sowナラサキシノブ

服づくりを中心に、手仕事の布と一緒に創造しています。
ラオス、ブータン、インドなど、各国を旅して、そこで出会った布を使い、デザインから縫製まで一人でされています。自分の足で歩いて出会い持ち帰られた布も多いので、小さなハギレも無駄にせず、パッチワークなどで布を生かし切って、魅力ある作品に仕立てます。
ふだんは着心地の良い綿の服やパンツ、バッグなどを作られることが多く、日本やアジアに伝わる労働着を見直す服づくりなども研究されています。

今回は風呂敷がテーマということで、絵画感覚も楽しみながらのパッチワークや、ご自身で藍染絞りなどを施した布も使って作品を作っていただきました。

19日の午後2時からギャラリートークを予定しています。お越しをお待ちしています。

「ふろしき展」開催にあたって

さて、いよいよ今週末より清滝テラにて「ふろしき展」が開催となります。関西のコロナ感染拡大に伴い、京都にもまん延防止等重点措置が適用されております。

テラとしましては、以下のことに留意しながら、展覧会を開催したいと思います。
・会場内ではマスク着用をお願いいたします。
・会場内は窓や扉を開けて、通気をよくすることを心がけます。
・ギャラリートークは、密を避ける上で、ご予約優先とし、人数を制限させていただく場合がございますので、どうぞご了解ください。
・会場内での飲食はなるべく控えたいと思います。場合によっては、茶菓のご接待を控えさせていただいたり、玄関外にテラス席を設けてお茶の提供をさせていただく場合があるかもしれません。どうぞご協力のほどお願いいたします。

幸か不幸か、清滝テラは古民家にて大変通気はよく(隙間風あり)、また、まわりは愛宕山と清滝川に囲まれた自然豊かな場所です。会場内だけでなく、緑いっぱいの野外の空気を吸い込んで、河原で一服されるのも心地よいでしょう。

ギャラリートークにつきましても、決められた時間以外にも、作家の方が在廊する場合は、自由にご質問などお声かけいただけますし、テラもわかる範囲のことをお伝えしてまいります。
みなさんとともに、互いに留意しあいながら、心地よい時間を過ごしたいと思っております。

どうぞよろしくご協力のほどお願いいたします。

ふろしき展出展紹介その3 アフリカドッグス

アフリカドッグスは若い会社です。京都生まれの中須俊治さんがトーゴを旅して、その国と人と布に出会い、日本に戻って働く中で、京都の染め工房の職人さんにも出会い、それぞれの素晴らしさや問題点につきあたりながら、トーゴと京都を布で結ぼうと会社を立ち上げました。

昨年春には、その挑戦を『Go to Togo』(烽火書房)という著書も記し、さらに去年秋に西陣の一角(西陣テラから徒歩10分の場所!)に店舗も構えられました。

店舗では生地や製品の販売もしつつ、トーゴの職人さんが、フリーハンドで裁断もし、ミシンも縫うというトーゴ式の仕立てで、服のオーダーも行われています。

そんなアフリカドッグスさんに、風呂敷の制作をお願いしました。大胆な色合いや柄のトーゴの布は、もちろん服もかっこいいけれど、誰でもがどこででも着れるとは限らない、でも、風呂敷だったら、布の良さを大いに楽しめるなあ!と思ったからです。

アフリカのバティックやアフリカンプリントも魅力的ですし、さらに、トーゴのデザインを京都の染め工房で重ね染したもの、そして、中須さんが京都で出会った染め職人、アート・ユニの西田さんによる染め布も風呂敷に仕上げていただきました。

アフリカの染め布と京都の染め布、遠く離れたようでいて、どこかつながるところもある人の手の仕事。先進国が途上国を助ける、とか、豊かな国が貧しい国に手を差し伸べる、とかいう論理とは異なる、これまでとは違ったかたちの経済のあり方や世界の未来を中須さんは思い描いているのかな。そんな気がします。

そうそう、トーゴだけでなく、中須さんのご友人によるベナンの布も少々来ています。合わせてご覧くださいね。

アフリカドッグス代表、中須俊治さんのギャラリートークは、4月17日午後2時からです。お越しをお待ちしています(密を避ける観点から、予約優先とさせていただきます)。

ふろしき展出展紹介その2 Shoku

Shokuは、ラオスを中心とした手紡ぎ自然染色手織りの綿布を扱う会社です。

ラオスの田舎では、棉を種から植えて栽培し、ワタをとり、手で紡いて糸を作り、さまざまな植物で染めあげ、手織りするという作業が、まだまだ生活の中で当たり前のこととして行われています。現代の日本では、そうした生産は「オーガニック」「貴重な手紡ぎ手織りの草木染め」ということになると思うし、これからはアジアでも本当に少なくなりつつあると思うけれど、Shokuさんは、そうしたラオスの暮らしの中での綿布の素晴らしさに早くから注目し、地域の人々と繋がり、制作指導もしながら、その布を日本に伝える役割を担ってきました。

アジア綿はダウンボールのように空気を多く含み、暖かく、風通しも良い、肌触り良い木綿です。

こうしたラオスの布を生地販売されるほか、服を作ったり、小物を作ったりして販売されています。

今回はそんなShokuさんに風呂敷製作を新たにお願いしました。
ラオス綿の肌触りの良さ、使い心地の良さを、「包む布ー風呂敷」という形の中で生かしてもらえたら素敵だなあ!と思ったからです。

野菜も荷物も手土産もお弁当も包める綿の布。首にも巻けるし、腰にも巻ける。子供のおくるみにだって使える優しい風呂敷を作っていただけたと思います。ぜひ手に取ってご覧ください。

よくみると、こんな可愛いアクセントがついていましたよ! かわいいビーズつき!

Shokuのギャラリートークは18日と25日の午後2時から行います。
Shokuを創業された牧さんご夫妻が来場して、ラオスの布作りとShokuのお話をしてくれる予定です。お楽しみに(25日はすでにご予約が7人となっています。密を避けるため、ご希望の方はご予約状況をお確かめください)。

ふろしき展出展紹介その1 コトノワ

コトノワは京都で伝統的にふろしきを生産販売してきた丸和商業という会社が立ち上げたブランドです。丸和商業さんは、もともと帛紗や冠婚葬祭の絹の風呂敷などを主流としてきたのですが、コトノワでは、北欧やヨーロッパのデザイナーによる新感覚の風呂敷ーフリークロスも発表しています。

これは、フィンランド人のヴィータサロ・ユホがデザインした風呂敷。伝統的な唐草模様にもどこか似ているけれど、確かに北欧のモダンさも感じられるデザインですね。フィンランドの自然や文化を象徴的に表現したデザインだそうです。同じデザインの色違いがこちら。

これも1枚の風呂敷布ですが、別売りの革のベルトで、両端を縛って使用しています。
風呂敷って包み方がイマイチ分からなくって、という方にはとっても簡単で便利。これなら、バッグ感覚で、自由に使えますよね。(革ベルトも会場内で売っていますよ)

同じくフィンランド人のヘイニ・リータフフタがデザインした風呂敷布がこちら。

テーブルウエアーやピクニックの敷物にも使えそうですし、

 

エプロンにもいいかも?!

もちろんランチボックス包みやバンダナにも可愛いな。
素材は面100%ですから、洗うことを躊躇うことなく、ジャブジャブ洗って使えるのもいいですよね。

コトノワさんには、4月20日(火)午後2時ごろからギャラリー会場にて、「風呂敷の使い方講座」をギャラリートークしていただく予定です。包み方がわかんない〜という方、ぜひ、会場にてかっこいい包み方を覚えて帰ってくださいね!

 

4月の展覧会「ふろしき展」

いつになく早い桜の開花に押されるように4月になりました。
4月17日(土)〜4月25日(日)まで、もう一度復活したい暮らしの道具展その1として、「ふろしき展」を開催します。

会期中、出展者の皆さんに、会場内で、作者紹介と作品紹介を兼ねたギャラリートークをしていただく予定です。現段階で日時決定した方々の予定をお知らせします。

17日(土) アフリカドッグス(14:00)アフリカと日本の布をつなぐ
18日(日) 辻中育子(13:30)
Shoku(14:00) ラオスの手紡ぎ手織りの布について
19日(月) sowナラサキシノブ(14:00)
20日(火) コトノワ(14:00)風呂敷の使い方実践講座
21日(水) 三柴啓子(14:00)
22日(木) 南澤洋子(14:00)
25日(日) Shoku(14:00)
*その他の出展者の方も日程が決まりましたら追記します

基本的に、会場に居合わせた方々に聞いていただく予定ですが、あまり密になることは避けたいので、人数オーバーと判断した場合には入場制限をさせていただく場合がございます。ぜひにと思う日程がありましたら、テラまでお電話、FAX、メール、メッセージなどでご予約をお願いします。
なお、会場内ではマスク着用のご協力をお願いいたします。

現在、少しずつ出来上がり作品も手元に届いたり、画像が送られてきたりしています。さまざまな個性の「包む布」が集まってきていて、織り、染め、描き、プリント、パッチワーク、古布、いろいろあり。布好きにはたまらない楽しさあふれそうです。

また少しずつ紹介していきますね。